地元の農産物を使った焼酎造り

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リンク: 焼酎原料米を自社生産 壱岐の蔵酒造が県内初 / 西日本新聞.

玄界灘に浮かぶ壱岐島は麦焼酎発祥の地であり、長年独特の麦焼酎が生産されています。米麹に麦を掛けるという独特の製法から「壱岐焼酎」は国際的な産地名保護を受けています。そうした壱岐の蔵元である壱岐の蔵酒造(もとの壱岐焼酎協業組合)が、米麹に使う原料米を島内の契約農家とともに生産しているという話題です。記事には地元の契約農家へ委託して原材料を自社生産するというのは長崎県内の蔵では初めてと書いてありますが、実際には2005年から重家酒造が契約農家とともに生産した壱岐産の山田錦を使用した焼酎を販売しています。今回、壱岐の蔵酒造は農政局に確認した上で「焼酎原料用加工米として事前に申請を行った長崎県内最初の事例」ということを西日本新聞の記者へ伝えたようですが、まず、農政局側が重家酒造の件を確認していたかどうかが曖昧で、その上、西日本新聞の記者が食用と加工用の違いを理解しないままに書いてしまっています。そのため、本当に長崎県内初だったかどうかは今のところ不透明であることを前提にした上でこの記事を読んで頂ければ幸いです。

壱岐の蔵酒造が最初であるかどうかは別として、今回の試みは大変に意義のあるものであるといえます。酒造りは一次産品である農作物をそのまま原材料として用いるという点で農業と直結しています。地元の農家と連携して、地元産の原材料を使用するというのは酒造りの文化そのものを重家酒造や壱岐の蔵酒造が理解されているからです。

さらに今回、重家酒造が山田錦、壱岐の蔵酒造が壱岐の風土と壱岐焼酎の麹作りに適した加工用米をそれぞれ地元農家と連携して生産した上でそれを焼酎にしているという点は特筆すべきことです。放射能関係の風評被害を恐れるあまり長年付き合った農家を切って縁もゆかりもない土地の農作物に切り替えてしまったような蔵元には理解できないかもしれないですが、今後の地酒蔵が求められているのは地元とともに歩む姿勢ではないかと思います。
重家酒造の「ちんぐ」をはじめとする焼酎は家族で生産されている焼酎で麦の香ばしさと米の甘さが両方楽しめ、ファンが多い焼酎蔵です。。壱岐の蔵酒造は、なでしこ酵母を使用した壱岐焼酎「なでしこ」を2002年から販売していますが、これが2011年になでしこジャパンが活躍したことで大変注目されています。こうした壱岐にある7つの蔵が醸している壱岐焼酎がもっと多くの方に飲まれるようになっていってくれることを願います。

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