蒸留酒に関する酒税法上の定義について

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日常生活では簡単に「蒸留酒」などと呼んでしまっていますが、実際にはどのような定義によってその範囲が定まっているのか。ここではその定義についてまとめています。

概要

蒸留酒は、酒税法第2条でまず「蒸留酒類」に分類されています。さらに蒸留酒類に分類されている酒類は酒税法第3条で以下のよう基準が定められています。若干堅苦しいですが、法律の条文を引用します。

主な酒類の法的規定

連続式蒸留しようちゆう アルコール含有物を連続式蒸留機(連続して供給されるアルコール含有物を蒸留しつつ、フーゼル油、アルデヒドその他の不純物を取り除くことができる蒸留機をいう。次号イ及び第四十三条第六項において同じ。)により蒸留した酒類(これに水を加えたもの及び政令で定めるところにより砂糖(政令で定めるものに限る。)その他の政令で定める物品を加えたもの(エキス分が二度未満のものに限る。)を含み、次に掲げるものを除く。)で、アルコール分が三十六度未満のものをいう。
上欄斜体で記した、しようちゆうから除かれている酒類 イ 発芽させた穀類又は果実(果実を乾燥させ若しくは煮つめたもの又は濃縮させた果汁を含み、なつめやしの実その他政令で定めるものを除く。以下この条において同じ。)を原料の全部又は一部としたもの
ロ しらかばの炭その他政令で定めるものでこしたもの
ハ 含糖質物(政令で定める砂糖を除く。)を原料の全部又は一部としたもので、そのアルコール含有物の蒸留の際の留出時のアルコール分が95度未満のもの
ニ アルコール含有物を蒸留する際、発生するアルコールに他の物品の成分を浸出させたもの
単式蒸留しようちゆう 単式蒸留しようちゆう 次に掲げる酒類(これらに水を加えたものを含み、前号イからニ〔※筆者注.上記連続式蒸留しようちゆうで除外されている酒類を指す〕までに掲げるものに該当するものを除く。)でアルコール分が四十五度以下のものをいう。
上欄斜体で記した、掲げられている酒類 イ 穀類又はいも類、これらのこうじ及び水を原料として発酵させたアルコール含有物を連続式蒸留機以外の蒸留機(以下この号及び第四十三条第七項において「単式蒸留機」という。)により蒸留したもの
ロ 穀類のこうじ及び水を原料として発酵させたアルコール含有物を単式蒸留機により蒸留したもの
ハ 清酒かす及び水若しくは清酒かす、米、米こうじ及び水を原料として発酵させたアルコール含有物又は清酒かすを単式蒸留機により蒸留したもの
ニ 砂糖(政令で定めるものに限る。)、米こうじ及び水を原料として発酵させたアルコール含有物を単式蒸留機により蒸留したもの
ホ 穀類又はいも類、これらのこうじ、水及び政令で定める物品を原料として発酵させたアルコール含有物を単式蒸留機により蒸留したもの(その原料中当該政令で定める物品の重量の合計が穀類又はいも類(これらのこうじを含む。)の重量を超えないものに限る。)
ヘ イからホまでに掲げる酒類以外の酒類でアルコール含有物を単式蒸留機により蒸留したもの(これに政令で定めるところにより砂糖(政令で定めるものに限る。)その他の政令で定める物品を加えたもの(エキス分が二度未満のものに限る。)を含む。)
原料用アルコール 第九号又は第十号の規定〔※筆者注.第九号は連続式蒸留しようちゆうの規定、第十号は単式蒸留しようちゆうの規定をそれぞれ指す〕(アルコール分に関する規定を除く。)に該当する酒類(水以外の物品を加えたものを除く。)でアルコール分が四十五度を超えるものをいう。
ウイスキー イ 発芽させた穀類及び水を原料として糖化させて、発酵させたアルコール含有物を蒸留したもの(当該アルコール含有物の蒸留の際の留出時のアルコール分が九十五度未満のものに限る。)
ロ 発芽させた穀類及び水によつて穀類を糖化させて、発酵させたアルコール含有物を蒸留したもの(当該アルコール含有物の蒸留の際の留出時のアルコール分が九十五度未満のものに限る。)
ハ イ又はロに掲げる酒類にアルコール、スピリッツ、香味料、色素又は水を加えたもの。(イ又はロに掲げる酒類のアルコール分の総量がアルコール、スピリッツ又は香味料を加えた後の酒類のアルコール分の総量の百分の十以上のものに限る。)
ブランデー イ 果実若しくは果実及び水を原料として発酵させたアルコール含有物又は果実酒(果実酒かすを含む。)を蒸留したもの(当該アルコール含有物又は果実酒の蒸留の際の留出時のアルコール分が九十五度未満のものに限る。)
ロ イに掲げる酒類にアルコール、スピリッツ、香味料、色素又は水を加えたもの(イに掲げる酒類のアルコール分の総量がアルコール、スピリッツ又は香味料を加えた後の酒類のアルコール分の総量の百分の十以上のものに限る。)
スピリッツ 第七号から前号までに〔※筆者注.第七号はから前号までに」掲げられている酒類は清酒、合成清酒、連続式蒸留しようちゆう、単式蒸留しようちゆう、みりん、ビール、果実酒、甘味果実酒、ウイスキー、ブランデー、原料用アルコール、発泡酒、その他の醸造酒〕掲げる酒類以外の酒類でエキス分が二度未満のものをいう。
単式蒸留しようちゆう ニで定められている砂糖は右の通り 酒税法施行令第四条の二  法第三条第十号 ニに規定する政令で定める砂糖は、前条〔※筆者注.酒税法施行令第四条〕第二項に規定する砂糖とする。
酒税法施行令第四条2 法第三条第九号 ハに規定する政令で定める砂糖は、分みつをしない砂糖(真空結晶かんによる結晶工程を経たものを除く。)のうち、さとうきび、さとうもろこし又はとうもろこしの搾汁を煮沸濃縮し、加工しないで冷却して製造した砂糖(粉状又は粒状のものを除く。)で、その糖度(温度二十度の時において検糖器により測定した場合の直接偏光度をいう。)が九十度以下のものとする。
単式蒸留しようちゆう ホの「政令で定める物品」は右の通り あしたば、あずき、あまちゃづる、アロエ、ウーロン茶、梅の種、えのきたけ、おたねにんじん、かぼちゃ、牛乳、ぎんなん、くず粉、くまざさ、くり、グリンピース、こならの実、ごま、こんぶ、サフラン、サボテン、しいたけ、しそ、大根、脱脂粉乳、たまねぎ、つのまた、つるつる、とちのきの実、トマト、なつめやしの実、にんじん、ねぎ、のり、ピーマン、ひしの実、ひまわりの種、ふきのとう、べにばな、ホエイパウダー、ほていあおい、またたび、抹茶、まてばしいの実、ゆりね、よもぎ、落花生、緑茶、れんこん、わかめ

一言で「焼酎」「ウイスキー」「ブランデー」といってしまいますが、実はこんなにも細かく基準が定められているのです。

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