リンク: 9500円の高級焼酎 2月発売へ 霧島酒造 / 西日本新聞.
まず、西日本新聞の記事では「焼酎」となっていますが、法的には焼酎ではなくスピリッツです。本文を読むと触れられていますが、見出しは正確ではないのでご注意下さい。
生薬などの薬効成分がある原材料を酒類に漬け込む「薬用酒」(「薬用養命酒」は代表的な製品)が酒類(リキュールあるいはスピリッツ)のみならず薬事法の第2類医薬品(滋養強壮保健薬)としての規制を受けるのに対して、民間療法的な素材を使用した酒類は「薬効作用」を宣伝文句として謳えない代わりに薬事法の規制を受けることなく販売できます。そうした酒類を「健康酒」と呼んでいます。
従来、健康酒のジャンルはそれほど一般的ではなく、「陶陶酒デルカップ」が焼肉店にある程度で、あとは小規模メーカーが販売している程度でした。霧島酒造は、健康に良いとされている原材料を自社生産した焼酎に漬け込み「金霧島」として販売したのを皮切りに「健康酒」市場を積極的に開拓していくスタンスを取っています。
焼酎愛飲家や焼酎ライターは伝統などを重んじるあまり、こうしたチャレンジを消極的に見るきらいがあります。先日の濱田酒造による清酒蔵新設もそうですが、経営体力がある大手がこうした形で新規市場へチャレンジするというのは、中小蔵の販路が拡大していく可能性もあり、大変に重要なことだと思います。このBLOGでは繰り返し書いておりますように大手の蔵と中小の蔵は両輪です。個別化・嗜好の多様化に応えられる中小蔵だけでは市場の拡大は不可能であり、価格訴求や大量生産といったマスの要求に応えられる大手蔵の活躍が非常に重要です。今後の推移を見守りたいと思います。