このBLOGではあまり個別の特定銘柄を推奨しないようにしていたのですが、銘柄が激増していることから「私見でかまわないのでおすすめを教えて欲しい」というご要望をいただくことが多くなりました。そこで完全に筆者の好みですが、おすすめの焼酎をつれづれに書き連ねて参ります。今回は芋焼酎篇です。
1.海(うみ)(鹿児島・大海酒造)
焼酎を飲むのがはじめて、という初心者へ必ずすすめる芋焼酎です。減圧で醸された焼酎は実に端麗で飲み口はさわやかです。芋焼酎に対して苦手意識を持っている人に飲んでもらうと「これが芋焼酎か」と驚かれます。その意味で焼酎初心者向けです。お酒自体が好きな方は物足りないと思われるのは間違いなく、芋焼酎ということを期待して飲むと逆に裏切られてしまいます。
2.いも麹芋(鹿児島・国分酒造協業組合)
こちらも焼酎初心者におすすめしている焼酎です。一般的な芋焼酎は米を麹にして芋を掛けて醸しますが、この焼酎は芋を麹にした元祖の焼酎です。今でこそ、様々な蔵から芋麹の芋焼酎が発売されていますが、この焼酎が出るまでは芋で麹を作るのは不可能であるとまでいわれていました。現在でも芋麹の芋焼酎の中では群を抜いて美味しいと保証できる焼酎です。芋麹ということでいわゆる「くさい」と思われる向きもあるかもしれませんが、たいへんすっきりしていて、芋の甘さやうまみがダイレクトに感じられる逸品です。
3.黒霧島(宮崎・霧島酒造)
いわずと知れた超有名銘柄です。スーパーにも普通に並んでいるこの焼酎をおすすめするとたいていびっくりされます。おそらく驚く方の多くが「スーパーの日本酒はいまいち」とか「日本酒は大手酒造メーカーだと美味しくない」という印象をお持ちだからではないかと思います。だからこそ、あえて私は黒霧島を飲んでみて欲しいとすすめます。本格焼酎はこうした大手酒造の日本酒や連続式蒸留焼酎(甲類焼酎)を混ぜた「混和焼酎」とは違って、大手でも品質にかなりのこだわりを持って販売しています。その証拠に一時期の黒霧島ブームで原酒が足りなくなったとき、霧島酒造は適当に増量して儲けに走るのではなく、出荷規制を行ってまで調整をしたことがありました。そんなわけで手軽に楽しめる「庶民の酒 焼酎」の真骨頂ともいえる黒霧島を一つあげてみます。
4.旭萬年白麹(宮崎・渡邊酒造場)
飲み慣れた方におすすめしたいのが宮崎・渡邊酒造場の旭萬年です。黒麹も美味しいのですが、私は白麹の方が好きです。非常にどっしりとした芋焼酎らしい芋焼酎で、お湯割りが一番おすすめです。焼酎通ばかりではなく、ちょっといい芋焼酎を飲みたいという方にもぴったりです。最近は人気が高くなっていて、店頭でも売り切れが増えてきていますが、居酒屋などで見かけた際にでも是非とも楽しんでみて下さい。また、同じ蔵の限定商品で「無濾過萬年」は更にがつんとくる焼酎です。期間限定でなかなかお目にかかれない逸品ですが、こちらも見かけたときは是非とも試してみて下さい。
ほかにもおすすめしたい芋焼酎がたくさんあるのですが、無限に書き連ねてしまいそうなのでこの辺にとどめておきます。なお、ここで上げた芋焼酎は、黒霧島を除いて、渋谷の焼酎バー古典さんで飲むことが可能です。ほかでは出荷直後しか見かけない無濾過萬年も古典さんですと一年中飲むことが出来ます。運が良ければ昨年出荷分もあるので飲み比べも可能です。バーの雰囲気で芋焼酎を飲むのもなかなかたのしいですので機会がありましたらぜひ寄ってみて下さい。