薩摩と白山に地理的表示

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リンク: 「薩摩焼酎」を原産地指定 国税庁告示.
リンク: 清酒「白山」ブランド化。産地指定、国税庁が告示。「他産地品は名乗れません」 .
昨日付の官報で「地理的表示に関する表示基準第二項に規定する国税庁長官が指定するぶどう酒又は蒸留酒の産地を定める件の一部を改正する件」(国税庁告示第三十一号)が告示されました。これにともない同告示の名称が「地理的表示に関する表示基準第二項に規定する国税庁長官が指定するぶどう酒、蒸留酒又は清酒の産地を定める件の一部を改正する件」と改正され、薩摩と白山に地理的表示が認められることとなりました。薩摩は焼酎、白山は清酒に関して適用されることになります
薩摩焼酎と名乗るためには以下のような基準があります。
1.名瀬市・大島郡を除く鹿児島県内で生産されたサツマイモだけを原料にしている。
2.名瀬市・大島郡を除く鹿児島県内で製造から容器詰めまで行っている。
これらの基準によって今後「薩摩焼酎」と名乗ることが出来るのはいも焼酎に限定されます。「薩摩米焼酎」や「薩摩麦焼酎」は名乗ることが出来ません。今後鹿児島県酒造組合連合会では「薩摩いも焼酎」という統一ブランド名を浸透させていくようです。
一方、同時に認定された白山ですが、これは以下のような条件があります。
1.白山市内の地下水を使用する
2.白山市内で醸造から瓶詰めまで行っている。
3.酒造好適米を70%以上精米して使用する、ただし原料米の産地は問わない
今回「白山」を申請していた松任税務署管内の酒蔵で構成する石川酒造組合は、既に前述した条件の下でつくられた清酒に「加賀菊酒」というブランドをつけて展開をしていました。今回、白山が地理的表示として認められたことで「白山菊酒」「加賀白山菊酒」といった統一ブランドを作り、展開していくようです。
ちなみに「加賀菊酒」というのは江戸時代に「幻の銘酒」などと謳われていたものです。加賀の何処でつくられたものか、正確な産地は明らかになってはいませんが、1823(文政6)年に冨田景周という人が書いた「加賀菊酒考」によると金沢説と鶴来説が有力であるとしています。1546年に尾山御坊が金沢に建てられるまでは鶴来の方が大きな街でした。金沢が本願寺から加賀藩に掛けて執政の中心になると金沢の方が大きくなっていきます。こうした経緯から石川酒造組合では菊酒の源を鶴来、つまり現在の白山市と考えており、今回の申請によって、このブランド名をきちんと後世へ継承していこうという考えのようです。
なお、WTOのトリプス協定では蒸留酒とワインのみが地理的表示の保護対象となっているため、現時点では「白山」の地理的表示は日本国内のみの保護にとどまります。今後、国税庁ではトリプス協定で清酒の産地名も保護されるように働きかけを強めていくそうです。
地理的表示がしっかりすれば我々飲兵衛にとっては判断基準が増えるので誠に素晴らしいことだと思います。色々なところでしっかりとした基準を作り、美味しい清酒・焼酎を呑ませて欲しいものですね。

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