中国でいも焼酎を作ることについて

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焼酎用イモ求めて訪中 来月、九州中心に13社 遼寧省を5日間視察

出典がYahooなのですぐ消えてしまうと思いますが、一応リンクです。
福岡の経営コンサルタントなる方が団長となって、いも焼酎の原料確保のために中国を視察するそうです。中国の芋を使っていも焼酎を作り、それを日本へ輸出しようということのようです。また、同時に中国の芋を日本へ輸入し、その芋でいも焼酎を作ろうということも考えているようです。
この記事はいろいろと賛否を呼んでいる中国産冷凍芋の問題を全く筋違いな方面から報道している点で問題があるのではないかと私は思います。
まず、中国産の冷凍芋を使ったいも焼酎はすでに市場に出回っています。いも焼酎の大量生産をするにはどうしても中国産冷凍芋は欠かせないのです。原料不足の窮地といいますが、すでに出回っていますのでたいした意味はありません。今の問題は国内産、それも鹿児島・宮崎産だけでまかなうためにどうしたらよいかということに焦点があるのであって、中国産芋を輸入したところで現在のブームを支えている中小の焼酎蔵には何の意味もないのが現実です。現在の本格焼酎業界では中国産冷凍芋と国内産芋の差別化をきちんと明示していくべきだろうというところに論点があります。
また、いも焼酎が売れていて流行っているから中国でいも焼酎の原酒を作って輸入すればいいだろうという考えはおそらく残念ですが、さほどの成功を収めないかへたをすると失敗するでしょう。現在売れていて、注目を集めている本格焼酎の原料芋はいずれも農家と生産・買い取りの契約をしているか自社で生産をしている蔵ばかりです。関東の消費者は顔の見える蔵の本格焼酎を好んで呑んでいますし、今後も安定していも焼酎を購入してくれる層はそうした顔の見えない焼酎を買うかどうかきわめて疑問です。ブームで呑んでいる人やブームで出している居酒屋は好んで仕入れるのだと思いますが、ブームが去ってしまえば……。
確かに品切れというのはマーケティングで「機会損失」とされ、よろしくないとは思いますが、いも焼酎があくまで農業を主体としている産物である以上、急激な増産は出来ないですし、無理な増産はブーム後の危機を招くだけだと思います。地酒・ワイン・地ビールと日本の酒類業界はブーム後の惨状をさんざん経験しているはずなのにこうした動きが本格焼酎でも出てくるのはきわめて残念です。宮崎・鹿児島・球磨・奄美・沖縄の蔵が動きに乗らないことを心から祈ります。これ以上小さいけれどきらりと光る蔵が廃業するのは勘弁です。

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