料飲店の自家製果実酒・梅酒・前割り焼酎の帳簿義務化には反対

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先日、天神FMで蔵元の肉声が聞けるコミュニティFMをやっているという話をこちらで書きましたが、本日(2008/02/18)に国分酒造協業組合の笹山護氏が出演した回が公開されました。これもまた以前こちらで書いたのですが、料飲店の自家製梅酒・自家製前割り焼酎に関する話題を笹山氏が話されています。
このPodCastを聞きまして、たまたまある方からいただいた情報を思い出しました。その方によれば、今回の法律改正で料飲店の自家製前割り焼酎と自家製梅酒の提供が合法化されるものの申告や記帳などが義務づけられるという方針が国税当局から打ち出されたようです。
この情報提供が正しいとするならば、せっかく合法化されたとしても前割り焼酎や梅酒を造り、販売するたびにどの程度売れて何杯提供したのかを毎日リアルタイムで記帳しなければならないという事態が発生します。それほど問題がないように見えるかもしれませんが、POSレジを導入している大手居酒屋ならばまだしも横丁の赤提灯では提供するたびに帳簿を出してきて、記載をしなければならず、宴会などが入ってしまった場合にはとても手に負えなくなるのが目に見えています。現実問題として、それらの帳簿を税務署が逐一チェックするのかといわれればおそらく答えはNoでしょう。
では、なぜこんなことをさせようとしているのか。明確の意図が国税当局から発表されているわけではないですが、個人的に自家製梅酒や前割り焼酎に課税をするための前段階なのではないかと穿った見方をしています。帳簿さえ付けさせておけば、突然課税の方針を出しても料飲店がすぐに対応できるだろうという腹ですね。もちろん私の勝手な推測ではありますが、帳簿の義務化にはこんなところがあるのではないかと思っています。
そもそも梅酒にせよ、前割り焼酎にせよ、ベースとなる本格焼酎・甲類焼酎などは既に酒税を支払っているわけです。いったん税務署の手を離れている納税済みの酒類に対して、「みなし製造」という規制があること自体、既におかしな話な訳です。本来、こうしたことは断じて認めてはならないと思います。そもそも自家製前割り焼酎と果実酒の提供だけではまだ本来は足りないのです。日本酒ベースの果実酒はなぜ認められないのか、官僚に聞いたところで明確な回答は出てこないでしょう。出てきたとしても蒸留酒と醸造酒の違いがあるという程度の位置づけしかないはずです。
酒は文化である、という言葉はよく使われます。スコットランドにスコッチがあり、アイルランドにアイリッシュウイスキーがあり、フランスにワインとブランデーがあり、ドイツにドイツビールがあり、ベルギーにベルギービールがあり、中国に紹興酒や白酒があり、ロシアにウオッカがあり、メキシコにテキーラがあり、オランダにジンがあり、カリブ海にラムがあるように日本には日本酒と本格焼酎があるのです。食はその国の文化生活をはかる一つの目安ですが、酒も同様です。諸外国では食や酒をどのように考えているか、というのはその人の人格をみるという意味で重要視されています。しかし、こうした小手先の改定しか発想できない、日本という国の行政の如何に不毛なことか。ペーパーテストしかできない役人には「食文化」「酒文化」という発想は「試験に出ないから勉強しませんでした」という程度のものなのでしょう。
先々には日本酒で作る果実酒やバーベキューに持っていった自家製前割り焼酎を振る舞うことも合法化しなければならないわけですが、その前段階として、まずは自家製果実酒・前割り焼酎の帳簿義務化に反対する必要があると思います。これがこのまま通りますと我々が作る果実酒もそのうち帳簿の義務づけが強行されかねません。もし、ご賛同頂けるようでしたら財務行政へのご意見・ご要望の受付から「税制」を選んで頂き、「自家製果実酒・自家製前割り焼酎を料飲店が提供するに当たって、帳簿の義務づけをするべきではない」という意見を国税当局に対して、寄せて下さい。何卒御協力のほど、よろしくお願いいたします。
2008/05/14追記
最終的に帳簿は義務づけられた状態のまま、特例法が「参議院みなし否決制度」を利用した衆議院で再可決されて成立しました。ただ、今後のことも考えて、ぜひともこれをご覧になった方は国税当局へ意見を寄せて頂けると嬉しく思います。何卒よろしくお願い致します。

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