焼酎の賞味期限とよりよい保管方法について

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焼酎に賞味期限があるか、気になっている方も多いと思いますが、焼酎はアルコール度数が高く、食品を劣化させる細菌が生存出来ないため、焼酎には賞味期限も消費期限もありません。ですからあまり温度が変わらない押し入れなどで保存すれば末永く楽しむことが出来ます。
そんな焼酎の保存や保管に関する疑問に関してまとめました。

賞味期限とはなんですか?

本格焼酎のお湯割り賞味期限は、製造した食品に関して、製造時点の風味や味わい、香りなどが劣化せずに食することが出来る加工食品の期限のことで、製造者が設定します。賞味期限はあくまで劣化しないという保証を示した期限ですから賞味期限を過ぎたからといってすぐに食べられなくなるものではありません。
一方、消費期限とは、製造から5日以内に劣化する加工食品に定められる期限で、製造者が設定します。賞味期限があくまで品質の基準であるのに対して、消費期限は食中毒など生命の危険を生じる可能性があるので、期限を過ぎたら飲食することはできません。

焼酎に賞味期限はありますか?

焼酎を含めた10度以上のお酒には賞味期限はありません。食品を劣化させる細菌は、一部の火落菌を除いて、10度以上のアルコール濃度では生存することが困難なためです。こうした科学的な根拠があるため、食品表示法では、アルコール飲料は賞味期限の表示を省略できると定められており、酒税法にも表示義務はありません。ただし、瓶に直射日光のあたる環境や高温になる環境は劣化しやすくなるので避けましょう。また、開封後は香りが弱くなっていくので早めに飲むことをおすすめします。

焼酎ラベルに書かれた日付は賞味期限ではないの?

焼酎のラベルを見ると年月日が書いているケースがあります。こちらは賞味期限を示す日付ではなく、この焼酎をいつ詰めたかを示す「詰口年月日」となります。元号表記で書かれているケースもあれば、西暦の下二桁で書かれている場合もあります。この日付は単純に瓶に詰めた日付なのですが、焼酎では新鮮さが重視されるケースは年に一回の「新酒」のみとなり、新酒以外では詰口年月日が最近の方がよいというわけではありません。そこに書かれた日付は気にせずに購入すれば問題ないのでご安心下さい。

焼酎はどんな環境に置いてもいいのですか?

アルコール度数が高く、細菌類に強い焼酎には賞味期限がないということは、どんな環境下でも劣化することなく、いつまでも美味しいままで飲めるのでしょうか。答えはノーです。「腐らない」ことと「美味しいままである」ことは、イコールではありません。焼酎本来の繊細な風味を守るためには、適切な保存が不可欠です。
焼酎の風味を損なう主な敵は、「光」「温度」「空気(酸化)」の3つです。特に日光は、これらの中で群を抜いて焼酎に悪影響を与えますので、絶対に避けなければなりません。直射日光の当たる場所やガスコンロの周りのような高温になる場所、湿度の高い場所に保管しますと賞味期限とは関係なく劣化していきます。直射日光自体は色の付いた瓶ならばある程度防いでくれますが、高温は瓶で防ぐことも出来ない最悪の環境です。これは賞味期限とはまた別の観点での劣化となります。

未開封の焼酎の保管方法はどうすればよいですか?

それでは賞味期限のない焼酎はどういうところに保管するのがよいでしょうか。まず未開封の場合は、主な敵である「光」「温度」「空気(酸化)」の3つを避けられるようになるべく一年を通じて温度の変化が少なく、直射日光に当たらない場所がベストです。家庭内では押入が一番無難な保管スペースではないかと思います。一軒家などで床下収納があるようでしたら、床下収納庫もよい保管場所だと思います。冷蔵庫に入れる方もいらっしゃいますが、基本的には推奨されません。温度が低すぎると、焼酎の旨味成分である「フーゼル油」などが凝固し、白い沈殿物「澱(おり)」として析出することがあります 。これは品質劣化ではありませんが、本来の香味バランスを崩す可能性があるため、常温の冷暗所での保存が最適です。

開封した焼酎の保管方法はどうすればよいですか?

開封した焼酎も基本的に未開封と同じように扱えば、賞味期限については気にしなくても大丈夫ですが、開封した焼酎は栓が開いているのでしっかりと栓をしないとアルコール分が揮発してしまうことがあります。また、どうしても香り成分は開封後には揮発していってしまいます。いずれの場合も四合瓶などねじ式のキャップであればしっかりと締めて冷暗所に置いておけば、賞味期限を気にすることなく、3ヶ月から半年程度は美味しく飲むことが可能です。一升瓶で填めるタイプのキャップの場合、隙間が生じやすく、ねじ式のものに比べて、特に香り成分が揮発しやすくなります。少しでも揮発を防ぐには、どこの家庭にもだいたいある食品用ラップフィルム(サランラップやクレラップなど)をキャップをすっぽりと覆うように巻き、輪ゴムで止めると良いと思います。食品用ラップフィルムは瓶などにぴったりと貼り付きますので隙間を埋めてくれ、瓶内が密閉された状態になります。こだわった方ですとワインでよく使用されるバキュバン(瓶内の空気を抜く機具)を使う方もいらっしゃいます。少し高めの本格焼酎を保存したい場合にはこういったものもお薦めできます。焼酎には賞味期限とはないとはいえ、適切な保管を心がけることで蔵元が精魂込めて醸した焼酎を最後まで劣化せずに味わいたいものです。

焼酎の状態が判る良い方法はありますか?

度々聞くのが「押し入れから古い焼酎が出てきた」「台所にしまい込んでいた様々なものの中に焼酎を発見した」といったどういう保管状態であったか判らない焼酎が見つかった、というものです。こうしたものですとそもそも賞味期限以前にラベルが読みにくくなってしまっていて、いつ詰められたかも判らず、本当に飲めるのかが心配になるケースもあると思います。そうした焼酎が飲めるかどうかの見分け方は「開封状況」「匂い」「見た目」「味」です。ここでは、飲む前に、ご自身で状態を確認できる3つのステップをご紹介します。

開封状況の確認

まず、ボトルが未開封か開封済みかを確認します。スクリューキャップの場合、キャップ下部のリングが切り離されていれば開封済みです 。未開封で適切に保存されていたものであれば、飲める可能性は非常に高いです。

香りの確認

グラスに少量注ぎ、香りを確認します。もし「古くなった油のような匂い(酸化臭)」や「ツンとくる酢のような酸っぱい匂い」が感じられる場合は、酸化が進み風味が著しく損なわれているサインです 。

見た目の確認

白い沈殿物「澱(おり)」: これは焼酎の旨味成分が凝縮・固化したもので、健康に害はありません 。ただ、香味のバランスが購入当初とは変化している可能性があります。
油状の浮遊物「フーゼル油」: これも焼酎の香味成分の一部で、健康への害はありません 。瓶を軽く振ると馴染むことが多いです。

結論

適切に保存されていれば、5年前、10年前の焼酎でも安全に飲むことは可能です 。ただし、蔵元が意図した繊細な風味とは異なっている可能性があることは、心に留めておきましょう。

もし口に合わなかったらどうすれば良い?

万が一、風味が変化して飲用には適さないと感じても、捨てる必要はありません。焼酎は驚くほど多様な活用法があります。

料理に活用

臭み消し・肉を柔らかく: 豚の角煮や煮魚など、クセのある食材の臭み消しに効果的です。アルコールが肉の繊維を柔らかくします。

揚げ物をカラッと: 天ぷらの衣に、水の半量程度の焼酎を加えると、衣がクリスピーに仕上がります。
風味付け: リゾットやマリネ液に少量加えると、料理に深みとコクが出ます 。

掃除・消臭に活用

油汚れ落とし: アルコールの力で、ガスコンロや換気扇の頑固な油汚れを拭き掃除できます。
殺菌・消臭: 水で薄めてスプレーボトルに入れれば、まな板の消毒や、靴箱・生ゴミの消臭にも役立ちます。

ユニークな活用法

自家製防虫剤: 焼酎に鷹の爪を漬け込み、その液体を水で300〜500倍に薄めれば、アブラムシなどに効果のある自然派の防虫剤になります。
焼酎風呂: 浴槽のお湯にコップ1杯程度の焼酎を入れると、血行が促進され体が芯から温まります。
スキンケア: 水で薄めてコットンに含ませ、フェイスパックとして利用する方法もあります。肌を整える効果が期待できるとされています。

焼酎を保管すれば古酒になる?

保管と熟成は異なる

焼酎を寝かせることは、単なる保管ではありません。「熟成」とは、蒸留したての原酒にある刺激的な香りを落ち着かせ、水とアルコールを馴染ませることで、口当たりをまろやかにする工程です。「熟成」と「劣化」は違うという点を気をつけましょう。
なお、ラベルで「古酒」や「長期貯蔵」と表示するには、公正競争規約上のルールがあります。

焼酎(泡盛以外):貯蔵年数が3年以上の焼酎を、ブレンド後の総量の50%以上使用した場合に表示可能です。
泡盛:焼酎より基準が厳しく、2015年以降は、全量が3年以上熟成されたものでなければ「古酒(クース)」と表示できません。

自宅で挑戦!「マイ古酒」作りで楽しむ熟成体験

焼酎の新たな楽しみ方として、ご家庭で手軽に熟成を体験してみませんか?

甕(かめ)で熟成: 市販の焼酎を陶器の甕に移し替えて保存するだけで、数ヶ月後には口当たりがまろやかに変化します。
樽スティックで風味付け: 近年注目されている「樽スティック」(ウイスキー樽の木片)を焼酎に漬け込むと、数週間で樽熟成のような色と香りの変化を楽しめます。

まとめ:焼酎との賢い付き合い方

焼酎には賞味期限がなく、正しく保存すれば何年でも安全に楽しむことができます。しかし、その真の魅力を味わうためには、「光・温度・空気」を避け、開封後は早めに飲みきることが大切です。

もし風味が変わってしまっても、料理や掃除など、その活用法は無限大。さらに、熟成や古酒の世界に足を踏み入れれば、その楽しみはさらに広がります。

このガイドが、皆様の焼酎ライフをより豊かにするための一助となれば幸いです。

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