本格焼酎の楽しみ本格焼酎の情報源お湯割り焼酎の美味しい楽しみ方( 2014/7/1)

お湯割り焼酎の美味しい楽しみ方

 本格焼酎のオーソドックスな楽しみ方としてお湯割りがあります。ただ、お湯で割るだけでなく、少しだけ手間をかけることでより焼酎のお湯割りを美味しく楽しむことが出来るのです。
1. 水を考える

 焼酎のお湯割りを考える前にお湯のもととなる水について考えてみたいと思います。
 マスコミ報道の影響で焼酎のお湯割りなどに利用する水についてかなりのこだわりを見せる方がいらっしゃいます。たしかにミネラルウォーターなどを利用した方が、より美味しく飲めることは間違いありません。水道水ではカルキ(残留塩素)がありますから、塩素分で味が変質してしまうのは事実です。
 しかし、家庭で毎日の晩酌用に高価なミネラルウォーターを購入することが出来るでしょうか。本格焼酎の本場である九州や沖縄で氷やお湯にミネラルウォーターを利用している家庭が多いとは思えません。私自身が家で呑むときは浄水器を通した水道水で呑んでいます。
 お湯割りや水割り、氷を問わず、水については「ミネラルウォーターを使わなければならない」ではなく「ミネラルウォーターのほうが美味しくできますよ」程度の認識でいた方が、肩を張らずに本格焼酎を楽しめると思います。

2. お湯を考える

 お湯の温め方も重要です。お湯はやかんで温めるのがやはりいちばん良いようです。電気ポットで温めて60度保温機能付きなら60度で保温しておくのも良いと思います。しかし、いくらすぐ呑みたいからといっても電子レンジで温めるのだけは避けてください。電子レンジは物体を構成している分子を電波の力で振動させ、擦ることで温度を得る器具です。この方法をとりますとせっかくミネラルウォーターを用いていてもなぜかおいしくなくなってしまいます。また、電子レンジで温めたお湯は冷めるのが早く温かさがなぜか長持ちしません。少しだけ手間をかけてやかんでお湯を沸かし、ポットで保温しておくのがいちばん理想的です。

3. 温度を考える

 焼酎のお湯割りに使うお湯の温度は何度がよいのでしょう。人によっても違いますが、私は60度くらいが好きです。ある方は75度位を薦めていました。ただ、いろいろな方に共通するのは「沸騰したお湯は絶対に使わない」と言うことです。沸騰したお湯で割った焼酎はなぜか味がとげとげしくなり、香りや味わいが飛んでしまうのです。この現象を「焼酎がやけどする」と表現された方もいらっしゃいますが、まさにそうした状況といえるでしょう。焼酎のお湯割りで用いるお湯は赤ちゃんの授乳用ミルクをつくると同じような感覚で用意されると良いと思います。ポットに授乳用の保温機能がついている場合にはその設定を用いるのが効率的で最大限の効果を得られると思います。

4. 割り方を考える

 ウイスキーを割るときはまずウイスキーを入れて濃度を見ながらお湯を足していき、最後はマドラーで混ぜるのが一般的です。しかし、焼酎をお湯割りにするときはまずお湯を注ぎ、そのあとで焼酎を注いでください。そのあとはマドラーで混ぜることはせず、そのままほんの少しだけ置いておきます。
 単に順番が違うだけだと思われるかもしれませんが、意外なことにこれだけで味わいが全く違ってしまうのです。いろいろな説がありますが、この謎は未だに解き明かされていません。だまされたと思って一度試してみてください。非常に驚かれることは間違いありません。

5. 濃度を考える

 お湯割りは一般的に焼酎6に対してお湯を4、「ロクヨン」が最も美味しいとされています。この割り方ですと一般的な焼酎の度数である25度の焼酎であれば約15度になり、日本酒より少し度数が高いという程度になります。しかし、普段ビールやチューハイを飲み慣れている人にとってはそれでも度数が高いと思います。私はロクヨンよりもヨンロク、つまり焼酎4に対してお湯を6という割合の方が好きです。鹿児島の方でもサンナナ、焼酎3に対してお湯を7で飲んだ方がゆったり飲めて好きだという方もいらっしゃいました。焼酎によって割り方を変える方もいらっしゃいます。
 是非とも自分なりの美味しく思える割り方を見つけ出してみてください。必ずしもロクヨンがよいとは限りませんよ。

6. そして本格的には……

 昔、鹿児島では黒ぢょかと言う酒器が利用されていました。これは事前に水と焼酎を5:5などお好きな濃さで割って3日くらい寝かせたものを炭火やいろりで温めるための道具で、最近ではあまり利用されなくなっていたようですが、この飲み方がお湯割り以上に焼酎を楽しめる最も美味しい飲み方であると断言される方もおいでになります。
 とはいってもなかなか現代の家庭では炭火を使って温めるというのは難しいですよね。しかし、黒ぢょかは直火にかけてしまうと割れやすい材質で出来ているため、炭火かせいぜい石油ストーブの上で少しずらした位置に置いて温めるくらいになってしまいます。そのため、鹿児島ではお湯割りが一般的になっていきました。この数年、焼酎ブームということもあって、再び黒ぢょかが見直されており、直火にかけられる黒ぢょかも登場しています。
 そしてかつては25度の焼酎を買ってきて、自分の家で水と焼酎を割っておく必要がありましたが、消費者の低アルコール志向もあって、最近では国分酒造協業組合の「いも麹 芋 前割15度」や「蔓無源氏 前割15度」のように15度に割った商品や「蔵元前割り さつま小鶴」「蔵元前割り 黒伊佐錦」「蔵元前割り 無濾過金兵衛」といったさらに度数を落として12度にした商品が登場しています。これらは全て蔵元の仕込み水で低度数にしてありますので、それぞれの銘柄に一番あった最適な水で、しかも蔵元が納得できるだけの日数寝かされた上で出荷されていますから購入すればすぐに燗付けをして楽しめるようになっています。これらの焼酎と先ほどの『頑黒』を組み合わせることで一番通の飲み方が楽しめるというのは本当に良い時代になったものです。

 一手間とわずかな時間をかけることで本当に美味しい焼酎を味わうことが出来ます。「ロックがいちばん美味しいに決まっている」と決めつけずにぜひここで紹介した方法でお湯割りを試してみてください。


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