本格焼酎の楽しみ本格焼酎とは > 本格焼酎の定義(2014/8/2)

本格焼酎の定義

概要

本格焼酎と名乗るには酒税法および酒税関連法規の細かい基準をクリアする必要があります。最近、本格焼酎と名乗るための基準がさらに厳密となり、2006年4月からは各酒類の定義が変更となりました。

1.酒とは

それでは、焼酎とは果たしてどんな酒でしょうか。どんな作り方をしても焼酎と読んで良いというわけではなく、まず焼酎と名乗ること自体に基準があります。

まず、「酒」と呼ばれるものの定義ですが、これは日本の場合、アルコール度数(全体の容量に対するアルコール含有量の割合)が1%以上のもの(酒税法第2条)と定められています。市販されている清涼飲料水の中にわざわざ「アルコール度数1%未満」と表記して販売されているものがありますが、これは「酒ではない」ということを表明して販売しているということとなります。わざわざ宣言しているのは20歳未満でも購入可能であることを示すためといえます。

このように定義される「酒」ですが、酒類自体は、その製法などから酒税法上では以下の4種類に大きく分かれ、さらにそれぞれに含まれる酒類が決められています。
発泡酒類
発酵方法や混和の度合いにかかわらず発泡性を有するもの
ビール、発泡酒、その他の発泡性酒類
醸造酒類
原材料を発酵させたもので発泡性ではないもの
清酒、果実酒、その他の醸造酒
蒸留酒類
原材料を発酵させ、蒸留したもので発泡性ではないもの
連続式蒸留しようちゆう、単式蒸留しようちゆう、ウイスキー、ブランデー、原料用アルコール、スピリッツ
混成酒類
酒類と果実・糖類などを混和させたもので発泡性ではないもの
合成清酒、みりん、甘味果実酒、リキュール、粉末酒、雑酒
実際には、発泡酒類のうちビールでも発泡酒でもないその他の発泡性酒類に分類されるものはアルコール分10%未満に限られていたり、単純に醸造したり、蒸留するだけではないケースもありますが、大まかに分けるとこのような区分となります。

2.焼酎とは

焼酎(酒税法上では「しようちゆう」)は、上記分類でいうところの蒸留酒となります。それでは、ウイスキーやウォッカとはどこが違うのでしょうか。酒税法をもとにすると以下のようなイメージです。なお、2006年4月(一部5月)施行の酒税法に基づく細かい分類はこちらにまとめました。

簡単に焼酎を定義すると以下のようになります。
  • 発芽させた穀類又は果実を使用していないこと(ウイスキー類などとの区別)
  • しらかばの炭などで濾していないこと(ウオッカとの区別)
  • 廃糖蜜・精製糖蜜・甜菜糖蜜を原料に使用している場合には蒸留時のアルコール度数が95度未満ではないこと
  • 蒸留時に指定外の物品を添加していないこと(リキュール類との区別)
  • アルコール度数が45度(35度の場合もある、詳しくは次節参照)未満であること(原料用アルコールとの区別)
となります。さらに焼酎には「光量規制」という制限事項もあります。この制限事項に関してはこちらをご覧下さい。

3.甲類焼酎と乙類焼酎

焼酎の定義はお判りいただけたと思います。それでは焼酎の瓶に良く書いてある「甲類焼酎」や「乙類焼酎」とはなんでしょうか。実は2006年4月に酒税法が改定され、現在はこの区分はありません。しかし、古い焼酎などには記されていますので、まず旧酒税法に基づく分類を見てみましょう。
旧酒税法では焼酎は製法によって以下のように区分されていました。(旧酒税法第4条)

しようちゆう甲類
蒸留の方法が連続式蒸留機によるしようちゆう
しようちゆう乙類
しようちゆう甲類以外のしようちゆう
旧酒税法第3条では甲類は36度未満、乙類は45度以下と定められていますので、一般的な書物などには
甲類焼酎
アルコール含有物を連続式蒸留機で蒸留したもので36度未満の焼酎
乙類焼酎
アルコール含有物を単式蒸留機で蒸留したもので45度以下の焼酎
とまとめられているのです。

ここで登場している連続式蒸留機とは、アルコール含有物(主に砂糖を取った後の廃糖蜜を発酵させたものが使われます)を何度も蒸留することのできる装置です。連続して蒸留することでもととなるアルコール含有物の持つ香味成分や雑味、不純物が取り除かれ、ほぼ純粋なアルコールを得ることが可能になります。甲類焼酎はこうして得られたアルコールへ水を加えます(このことを「和水する」といいます)。和水することで酒税法に定められたアルコール度数基準を満たしているわけです。

一方、乙類で使用される単式蒸留機は、蒸留を一回のみ行なう装置です。一回だけ蒸留することで原料の持つ香味成分や雑味などがあまり損なわれることなく、抽出されます。そのため、原料となるアルコール含有物が何からできたかによって、その味わいや香り、風味が大きく異なるわけです。

これらの特徴から、甲類は「クリアな」「透明感のある」焼酎と称し、乙類は「味わい深い」「個性豊かな」と称されるのです。
それでは新酒税法ではどうなったのでしょうか。まず、従来「しようちゆう」としてまとめられていた上記2分類がそれぞれ酒税法の表記上は独立しました。さらに「甲乙」という分類が無くなりました。旧酒税法と新酒税法の表記は以下のように対照されます。
旧酒税法 新酒税法
しようちゆう甲類 連続式蒸留しようちゆう
しようちゆう乙類 単式蒸留しようちゆう
それぞれアルコール度数はいままでと同じように連続式が36度未満、単式が45度以下となっています。
しかし、今回変わったのその名称だけではなく、定義も改めて細かく制定されました。連続式蒸留しようちゆうは2番で説明した5点のみの制約ですが、単式蒸留しようちゆうは2番で説明した5点の制約以外に前提として

「連続式蒸留機以外の蒸留機を使用している」

という制約があります。さらにこれに加えて簡単に説明すると以下のような条件が付いています。なお、詳細な規定はこちらを参照して下さい。
  • 穀類、芋類を原料や麹に使用している。
  • 清酒かす(酒粕)を原料に使用している。
  • 政令で定められた砂糖と米麹、水を使用している。
  • 上記に該当しない場合は、穀類もしくは芋類と穀類麹もしくは芋類麹が、水を除いた原料の50%以上の重量を占めている。
  • これらにも該当しない酒類でアルコール含有物を単式蒸留機により蒸留したもの。ただし政令で定められた砂糖やその他物品のエキスが2%未満であること。
上の1番目から4番目までは後述の本格焼酎に関する規定がそのまま法律になったと考えて良いでしょう。5番目の規定があることで単式蒸留機で蒸留した酒類はアルコール度数45度以下という規定を守る限り、「単式蒸留しようちゆう」と名乗ることが出来ます。

なお、市場に出回っている「焼酎」にはこれらのほかに「混和焼酎」と呼ばれる焼酎があります。混和焼酎の詳細についてはこちらでご確認下さい。

甲類と乙類の税法上の違いを解説しましたので、ここで焼酎の税率に関する歴史をご紹介しておきます。

同じような蒸留酒でありながら、甲類と乙類がわざわざ分けられていた理由ですが、焼酎乙類が元々労働者階層で呑まれていたこともあり、乙類側の酒税を低く抑えるためだとされています。
しかし、世界貿易機構(WTO)において、欧米から「同じ蒸留酒である焼酎の税率がウイスキーなどと比較して低く抑えられているのは輸入障壁である」という訴えがなされ、最終的に1997年から2000年に掛けて、段階的にウイスキーなどの輸入蒸留酒の税率を下げつつ、焼酎の税率を上げることで「税額の公平化」を図ることになりました。
税率の公平化が完全に実行された2000年当時、焼酎業界、とりわけ本格焼酎・泡盛業界では税率の上昇に伴う売れ行き不振を懸念する声が多く聴かれました。
一方で、某大手メーカーを中心とするウイスキーメーカーは大手広告代理店と組んで税率の下落を機に猛攻勢に出ました。割安なウイスキーが各種登場したのもこのころの話です。実際、1997年には14万7038キロリットルであったウイスキー類の酒税課税事績は1998年に15万6742キロリットルに増加しています。

ところが、世の中とは皮肉なものです。ウイスキー類の酒税課税事績がピークだったのは1998年で、それ以降はじりじりと下がり続け、2002年には12万0581キロリットル、2004年には10万キロリットルの大台割れ、2005年の酒税課税事績は9万4055キロリットルとピーク時より6万2687キロリットルも減少してしまったのです。
一方、税率が上がる前からじりじりと酒税課税事績を延ばしていた焼酎乙類は、1997年の段階で32万9633キロリットルとなっていました。税額が上がり続けたにもかかわらず、その後もペースは衰えず、本格焼酎ブーム直前の2002年には39万5006キロリットルに達していました。そして、本格焼酎ブームを経た現在は53万9284キロリットルと酒税が上がり始めた1997年と比較して実に20万9651キロリットルもの増加という結果になりました。

ここからは余談となりますが、では、なぜ安くなったウイスキーが下落し、高くなった焼酎が増加したのでしょう。
1997年以前、本格焼酎は労働者の酒というイメージがこびりついてしました。確かに「いいちこ」「二階堂」のブームによって1980年代前半には銀座のクラブなどで本格焼酎が並ぶようになっていたもののそれは本当に一部で、焼酎全体は赤提灯で赤ら顔の親父が工場の帰りに呑む酒、というイメージだったのです。
一方、「ジョニ黒」などに代表されるウイスキー類は税額が高かったことから「舶来信仰」と結びつき、高級酒という扱いを受けていたのです。今では信じられないと思いますが、海外旅行で買ってくるおみやげの定番はウイスキー類だったのです。そして、それが大変に珍重され、豪華な食器棚の中央に海外で買ってきた「ジョニ黒」が神様のように鎮座していたのでした。

ところが、税率が下がり、ウイスキーの高級感が無くなったことでウイスキーは「ハレの酒」から「日常酒」へと格下げされました。さらにそうした傾向に追い打ちを掛けるように大手メーカーが格安ウイスキーの大攻勢に出たのです。一方で焼酎、特に本格焼酎はある程度の高級志向を模索し始めました。日常酒としてのポジションは維持したままで仕込みへのこだわりや原材料の厳選化などを経て、ちょっとおしゃれなお酒という地位を目指したのです。日常酒となるのは度数が高く、値段も余り安くないウイスキーは中途半端な立場となり、逆にウイスキーほどは度数が高くなく、高級感があるのに値段がウイスキーよりも安い本格焼酎は「日常酒」としても「ハレの酒」としても呑めて重宝がられることになりました。
そして、本格焼酎のブームが到来、「ハレの酒」はウイスキーから本格焼酎へと変化してしまったのです。

4.本格焼酎とは

前述の通り、本格焼酎は酒税法上の分類ではかつての乙類、現在の単式蒸留しようちゆうに当たります。従来、酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律施行規則第11条の5の規定によって、乙類(単式蒸留しようちゆう)であれば本格焼酎と名乗ることが許されていました。しかし、2002年11月1日に従来の乙類焼酎=本格焼酎から一歩踏み込んだ規定が定められました。前提条件である「乙類(単式蒸留しようちゆう)であること」というのは変更ありません。簡単にまとめると
  • 穀類、芋類を原料や麹に使用している。
  • 清酒かす(酒粕)を原料に使用している。
  • 政令で定められた砂糖と米麹、水を使用している。
  • 上記に該当しない場合は、穀類もしくは芋類と穀類麹もしくは芋類麹が、水を除いた原料の50%以上の重量を占めている。
という基準となります。なお、「泡盛」の表記については従来より以下のように定められています。
  • 黒麹を用いた米麹と水のみを使用している。
詳細な条文についてはこちらをご覧ください。

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